始末(しまつ)するということ
日本の三大商人である 近江商人が大切にしていた理念の一つに、 「始末してきばる」 というものがあります。 「きばる」は、「がんばる」や「最善を尽くす」 などの言葉に置き換えられますが、 「始末する」には様々な意味が含まれ、 片付ける 不要なものを捨てる 質素倹約…など 様々なキーワードが出てきます。 これまで、どれに当てはめてみても どうもしっくり来なかったのですが、 最近ようやく、 答えが見つかったような気がしています。 それは、 「効用」を余さず使い切ること その資源が持つ効用(良さ・強み)を見極めて 「資源を最後まで活かし切る」 ということです。 「これは高価だったから大切にする」 という考え方で資源を色分けされる方がいますが、 始末の概念は、金額や価値の大小かかわらず すべての資源に当てはまるものです。 一番身近な例として、料理を挙げてみましょう。 (以下、執筆中) 時間をお金で買うために、 モノを使い捨てするのはやむなし という考え方もあるでしょう。 ただ、 「捨てられたものが、その後どうなるのか」 という点を押さえた上で実行する勇気を持たなければ、 この先は自分のことだけを考えていては 立ちゆかない時代に入って行くと思われます。 たとえば木材のように、 焼けば燃料になり、 埋めれば菌類に分解されて、 自然の循環サイクルにすぐに溶け込んでいく… そんな資源だけではありません。 金属や樹脂・ガラスを複雑に組み合わせて 壊れにくく頑丈に作られた資源も数多くあります。 それが生み出されるのに多くのエネルギーが投入され、 さらに処分のエネルギーが上乗せで投入されて、 埋め立てゴミとなった後、長い期間、自然に還らずに滞る… というように、 非常に環境燃費が悪いサイクルを回してしまうこともあるのです。 複雑なものほど、始末は難しいものです。 きちんと「始末」していくためには、 常にその資源の持ち味を見極めて、 想像力を働かせる必要があると思うのです。 このように、 効用を余さず使い切るために必要となる、 「洞察力」「想像力」こそ 近江商人が大切にしてきたものなのではないかと 私は考えています。
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