2023/08/18実施レポート

まほうの土プロジェクト〜微生物の土で野菜をつくろう〜は、 『子供たちが、1年間かけて「土」や「微生物」にわくわく・どきどきしてもらいながら、野菜をつくってみんなで喜びを分かち合う』ことをめざして取り組んでいます。 今回は、前回のヨーグルトづくりに引き続き、夏休みの特別企画「びせいぶつを食べてみよう」シリーズの第二弾として、塩こうじづくりを行いました。 これまで、 「キノコの菌」 「乳酸菌」 など、色々な微生物たちと出会い、関心を深めてきた子供達。 今回新たに知り合ったのは、「コウジカビ」という微生物でした。

コウジカビは別名を「アスペルギルス・オリゼー (Aspergillus oryzae)」といい、 日本酒や醤油、お味噌づくりに欠かせない菌です。 実は、日本を代表する国菌として登録されているすごい菌でもあります。 ※菊の国章にちなんで、麹菌(きくきん)などと呼ばれたりもします。 そんなコウジカビが、たーくさん住んでいる場所。 それが「米こうじ」です。 今回もプレパラートをつくり、顕微鏡でのぞいてみました。

私は顕微鏡のピントをあわせるお手伝いだけ。 あとは、子供たちが自由にスライドの位置を調整し、コウジカビを探します。

しばらく探していると、「あった!これってコウジカビ??」 と目を輝かせながら訊いてきます。 「…残念、これは空気のかたまりだ」 というやりとりを重ねているうちに、 ついに、花を咲かせたような姿をしたコウジカビを発見!

みんな、もう立派なこども科学者ですね。

今回学んだポイント

さて今回は、塩こうじづくりを通じて、 こんなことを学びました↓ ・口がない、コウジカビなど微生物たちは、どうやってものを食べているのか? ・なんと、「酵素(こうそ)」というカラクリ機械を体の外に出して、大きな食べ物を小さく切って、それを吸い込んでいる! ・このからくり機械は、体と同じ原料(タンパク質など)で作られているから、使い終わったあとゴミにならない。 などなど! 塩こうじは、コウジカビがつくる色々な種類の酵素によって、米こうじに含まれるお米が分解され、糖やアミノ酸がたくさん作られます。

あま味とうま味が増えることで、塩がマイルドな塩味に変化していくわけです! この酵素をつくってくれたコウジカビは、塩漬けにされてとっくにお亡くなりになっていますが、 彼らが遺してくれた酵素によって食材が美味しく変化していく、ミクロの不思議な世界をほんの少し体験することができました。

塩こうじのつくりかた

最後に、ご家庭での塩こうじの作り方をご紹介します。 ・殺菌した容器とスプーンを用意し、 ・容器に以下の重量比で材料を混ぜ合わせます (米こうじ:塩:水=15:5:17 → 塩分濃度 13.5%を保つために、この比率が重要になります ・時々(できれば毎日1回)かき混ぜながら、 ・夏場は常温で7日程度、冬場は冷蔵庫の上など暖かい場所で10日程度で完成です! ※酵素は30〜50度くらいでもっともよく反応が進むので、この温度帯をキープできれば、より早く完成します。ただし、酵素は60〜70度付近を越えると失活する(カラクリ機械の構造がこわれる)ので、加熱しすぎないように注意してください。 塩こうじは調味料として使う以外にも、水で少し薄めてお魚やお肉、お野菜にもみこんで冷蔵庫で1晩置いておくだけでうま味が増したりします。ぜひお試しください!

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